自動売買ツール提供会社の「バックテスト」は鵜呑みにしない

プロも使用している自動売買ツールですが、選ぶときにぜひ気を付けてもらいたいことがあります。

自動売買ツールを提供している会社の情報で「検証期間3年、バックテストの検証により、その検証期間内においていくらの期間収益が発生しました。勝率は70%です」というように、自動売買ツールのストラテジーの有効性を確認する検証作業として、バックテストをもとにした仮想損益が公開されていますが、これを鵜呑みにしないということです。

そもそもバックテストとは、そのストラテジーが過去のデータ(条件)をもとにトレードしたらどんな結果になるかを検証したものです。そのとき新規注文から決済注文の利食いや損切りもすべて、実際の市場の流動性を加味することなく、一定(ドル/円であれば1銭など)のスプレッドで取引できたという仮定で計算されています。スリッページなども一切考慮されていません。

しかし、実際のトレードでは、長い年月つねに市場の流動性や通貨ペアのスプレッドが一定ということはまずありません。

市場が荒れて値動きが激しく、スプレッドが拡大したときに損切りしていれば、本来は拡大スプレッドで取引されるはずであり、損失も仮想損失より拡大する可能性が高くなるのがリアルマーケットです。バックテストでそこまで再現することは不可能です。

あくまでもテストした仮想損益であって、実績ではありません。当然ながら、実際の未来の相場に当てはまるわけでもありません。またストラテジーは、パラメーターの調整などで過去の相場値動きに合わせて一番収益が上がるようにつくることもできます。つまりバックテストの仮想収益は、いくらでも操作ができるのです。

自動売買ツールの本当の実力は「トラックレコード」でチェック

自動売買ツールの本当の実力を確認する指標としては、リアルマネーで実績を残した「トラックレコード」が最重要チェック項目です。もし、「トラックレコード」がなければ、最低でも「フォワードテスト」が公開されているかどうかで判断できます。

「フォワードテスト」は実際の取引のことを指します(商品提供する前に未来の為替の動きに対してバックテストで検証されたストラテジーが期待通りの動作とパフォーマンスを残せるのかを試すテスト)。

これはシステムプロバイダーが勝手に手を加えることはできないものであり、運用直前の最終確認として実施される検証方法です。「トラックレコード」がなく、「バックテスト」のみであれば、リアルマネーでの実績はないと考えて結構です。

また「過去3年の実績」と記載されているのも要注意です。詳しく中身を見ると、ストラテジーとして使用されて半年(トラックレコード)、その前の2年半はバックテストによる仮想損益ということがあります。これは自動売買ツールに搭載するためにつくられたストラテジーであり、搭載され、使用されてはじめて実績が計上されているのです。

本来、自動売買ツールは、厳選されたストラテジーを搭載するべく、厳しい審査基準を課しているものです。海外では、ヘッジファンドマネージャーは自己資金を含めた現金(リアルマネー)での「トラックレコード(実績)」を持っており、それがシステムプロバイダーとしての採用判定基準となっています。

また「トラックレコード」であることを証明するために、GIPS(グローバル投資パフォーマンス基準)に準拠した監査証明書が必要です。システムプロバイダーが独自に計算、算出したものは通用しません。

日本では、従来「SAAJ-IPS」(日本証券アナリスト協会投資パフォーマンス基準)が、GIPSに準拠した認証となっていましたが、2006年1月より世界共通のGIPSに切り替えられました。

こんな自動売買ツール提供会社には要注意

しかし、最近では、自動売買ツールを商品として完成させるために、ストラテジー数をそろえるべく開発されたものが多々あります。また、ネット上で販売されている情報商材や売買ロジックなども多々見られます。これらには、基本的にトラックレコード(実績)がほとんどありません。

また、厳格な審査基準や証明書がない自動売買ツールは、リスク管理能力が劣るため、成績の悪いストラテジーがいつまでも搭載されている状況になりがちです。

さらにひとつの会社でトレードスタイルやリスク・リターン特性、テクニカル指標別にストラテジーを多数開発して自動売買ツールとして提供している場合も要注意です。ストラテジーの数は豊富そうに見えても、中身はあまり変わらないということもよくあるからです。

特に、ストラテジー開発担当者が1~2名だと、同じようなストラテジーができ上がる可能性が高くなります。ストラテジーの入れ替えもなく、既存の複数のストラテジーをその1~2名の担当者がすべて最適化するために、名前こそ違うけれども、同じような中身になるのです。

自分の大事な資金を預ける自動売買ツール選定は慎重に

通常、海外の優秀で実績のあるシステムプロバイダーには、物理学や数学の博士号を保有している研究開発担当者が存在し、独自にひとつのトレードスタイルだけを確立させています。

ひとつのシステムプロバイダーが複数のトレードスタイルを完成させて成功しているという話は、聞いたことがありません。

選択すべき自動売買ツールは、搭載されているシステムプロバイダーの数と同じ数だけ、優秀な研究開発者がいるはずです。

個人投資家が自動売買ツールの口座に証拠金を入金し、ストラテジーを選択して取引スタートすることは、システムプロバイダーにお金を預けて運用してもらうこととほぼ同じです。

自分の大事な資金を「メジャーリーグプレーヤー」に預けるのか、それとも「草野球チーム」に預けるのか。搭載されているストラテジーのプロフィール、および搭載されるための審査基準は、よく確認することが大切です。

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鶴 泰治

株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

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