為替取引において他人の情報を鵜呑みにするのは危険です

よく「FXで月50万円儲ける・・・」「○○億円稼いだ脱税者の高金利通貨攻略法」「FXママの月収○○○万円テク・・・」「いま話題の勝率8 割‘自動売買機能’・・・」などという文句で、個人投資家をひきつける表紙や広告を目にします。

個人投資家は、幅広い年齢層にまたがり、サラリーマンや主婦、個人事業主、一線を退いた方など、職業もまちまちです。金融商品への投資経験もそれぞれ違います。

さらに、FX投資をする場合の実生活にもとづいた余剰資金、運用目的や収益目標値もさまざまです。取引スタイルも、スキャルピング、デイトレード、スイングトレード、中長期トレード、スワップトレードなどあらゆる戦略スタイルがあります。

自分のFX投資手法を確立するうえで、いろいろと専門誌やセミナーを通じて講師の経験談を参考にすることは大切です。自分の置かれた立場と同じ境遇の講師の意見は、非常に参考になります。

だからと言って、そのまますべてを鵜呑みにするのは避けたいところです。

特にいくら儲かるなどの数字は、あまり当てにしないほうがいいでしょう。その講師や著者・開発者が推奨する取引をホームページ上でリアルタイムに公開して、リアルマネーで実績を明示していれば別ですが、一般的には紙面での紹介だけにとどまっています。

プロディーラーの場合、彼らの損益は別の部署(ミドルオフィス)で管理されているため、その実績は客観的に計上されています。実績は社外に公開されていませんが、これは動かしようのない事実です。

よって、プロのディーラーが本当に収益を計上しているのかまたはしてきたのかは同じ部署にいる(いた)銀行の他のディーラーもしくはミドルオフィス担当に問い合わせれば事実が証明されます。一般的には同じ銀行で長期間為替ディーラーを務めている(務めた)ディーラーは利潤の確保ができるディーラーとみて問題ないでしょう。

収益を計上できなければ邦銀の場合はその銀行内で他の部署に異動となりますし、外資系銀行の場合は解雇となりますので短期間で幾つも外資系銀行を転職して渡り歩いているディーラーも一般的には利潤を確保できていないと考えて問題ありません。

FX取引の実績証明は、FX会社が発行する「支払調書」で可能

個人投資家や個人投資家出身の専業トレーダー講師、売買ロジック開発者がFX取引をした場合でも、その実績は証明できます。

FX会社は、全顧客の1年間(1月~12月)のすべての取引実績につき、「支払調書」というかたちで税務署に対し証明書として取引報告書を提出しているからです。個人投資家にも、送付しています。個人投資家がたとえ複数口座を持っていても、すべてのFX会社から「支払調書」を受領して損益通算すれば、その人の実績は証明されるのです。

しかし、実際には開示して証明したFX講師や売買ロジック機能を見たことがありません。また、各FX会社が主催するライブ口座によるリアルマネーでの取引競争(一定期間内での収益率や収益額を実践取引で競うコンテスト)にて、個人投資家をひきつける広告や宣伝をしているFX講師が謳い文句どおりの実績を残しているケースをほとんど見たことがありませんし、そもそも参加してない(あえて参加を避ける)のが実情です。

実績が証明されている人も存在するが、多くは表に出てこない

唯一‘マット今井’こと「今井雅人」さん(元銀行チーフディーラー出身で現在、国会議員の傍らFX講師や自らFX取引を実践して活躍中)は2015年夏に2014年のFX取引で5000万円超の利益を計上していたことが国会議員の所得公開で明るみとなり、大きな話題となりました。

今井さんは某FX会社の取引競争(リアル口座、リアルマネー)でも「まさと」のニックネームで参戦し、1位を度々獲得するなど実際に実践バトルに参戦し、実績を残している数少ないFX講師といっても過言ではありません。

個人投資家出身の講師ではロビンスカップを制した「バカラ村さん」も国際的なリアルマネーコンテストで実績を残しています。

私の過去の経験則から判断すると、利潤の確保ができるトレーダーほど自分の実績を自ら披露・アピールする人はほとんどいません。

逆に損失を出した取引を話題にしてあまり実力がないかのように振舞いながら実は安定的な収益を上げている人が多いものです。常に失敗から学び、より収益の安定化を目指そうとする謙虚な姿勢の講師ほどあてになるものです。

実績は自己評価・自己披露ではなく、他人評価・他人披露と捉えてください。

実績が本当でも、その実績を出した時期は要チェック

また、「数億円稼いだ」という実績が紹介されている場合、かなり古い話題となりますがスワップトレードにもとづいた体験談が多いようです。

10年前の2007年のサブプライムローン問題以前のスワップトレードによる収益実績を現在に当てはめても、同じように収益を上げるのは非常に困難です。

サブプライムローン問題以前は、米ドル、ユーロをはじめ豪ドルなど高金利通貨と円との関係は円が0.5%未満の低位安定に対し、主要通貨(米ドル3%、ユーロ4%、英国5.5%)高金利通貨(豪ドル7%、NYドル8%)は金利上昇局面もしくは高金利維持の状況であったため、金利差も大きく安定して金利スワップの実収入が確保できました。

また、円安局面だったため、為替取引の面でも大きな差益がとれていたのです。何も考えずにレバレッジをかけて取引しても、円安局面が後押しをして、放っておいても証拠金不足による強制決済に出くわす機会も少なかったことが大きいでしょう。

サブプライムローン問題以降は翌年2008年のリーマンショックを契機にグローバルに金融緩和が加速度的に進み、主要通貨・高金利通貨は大幅に金利は低下、円との金利差が縮小しました。同時に、円高局面に移行しました。一言で言えば、2007年以前はFX初心者でもビギナーズラックで収益を計上できる環境にあったのです。

当時スワップトレードで大きな収益を上げていた人の多くは、スワップトレードの本当のリスクを理解していなかったため、それ以降の円高局面でみるみるうちに損失を出し、FX会社の強制決済にことごとくあい、結局FX市場から撤退を余儀なくされています。優秀なスワップトレーダーは金利差縮小局面や円高トレンドとなっても、スワップトレードで安定的な収益を上げられる人です。

もちろんサブプライムローン問題以前の環境下ですら、同じようなスタイルで取引しても実際の収益実績には個人差が出ています。

経験談などの情報は重要ですが、惑わされないように

多大な実績を残した人は、それぞれいろいろな取引戦略を駆使して収益を上げていると思われますので、取引事例を参考にすることは大事です。

また、市場の激変についていけなかった経験談などは、まさしく参考になると思います。最終的には、自分の取引スタイルは自分で確立しなければいけません。

巷の個人投資家を引き付ける魅力的な広告・宣伝には惑わされないことです。

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鶴 泰治

株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

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