仮想通貨が注目され、中核技術であるブロックチェーンの様々な業界への応用が期待されています。今回は医療へのブロックチェーンの活用(MediTech)について見ていきたいと思います。

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MediTech

医療分野に関してはHealthTech(健康)やMediTech(医療)など様々な言葉が作られています。

MediTechというのはMedical(医療)×Technology(技術)から生まれた造語となります。

様々な業界への技術の活用が期待されていることから、「x‐Tech(*xに業界が入る)」という言葉が流行となっています。 仮想通貨に興味がある方ならば、FinTech(フィンテック)という言葉を聞いたことがあるでしょう。これはFinancial(金融)×Technology(技術)の造語であり、金融へのIT技術の活用ということになります。その他よく聞かれるものとしてはInsurTech/InsTech(保険)、AgriTech(農業)が挙げられます。

ブロックチェーンとは

まず、ブロックチェーンについて確認していきましょう。

ブロックチェーンというのは仮想通貨(主にビットコイン)の中核技術であり、非中央集権的に信頼を担保することができる仕組みです。

具体的には、 情報が含まれた「ブロック」をチェーン(鎖)のようにつないでいくことで不正を防止することができます。

一つのブロックを改竄するには、つながった全てのブロックを改竄しなければならないようになっていることから、マイニング(*新規のビットコイン発行を受け取ること)のための計算を行ったほうが効率的となり悪意者を排除することができます。

FinTechがなぜ注目されたのか

なぜ、まずFinTechが注目されるようになったのでしょうか。それは、金融が人々にとって最も身近で最も面倒なものであったことが理由だと考えられます。情報技術とスマートフォンの発達によって利便性を求めるニーズが拡大したことが理由といえるでしょう。

医療に求められるもの

医療には、金融と同様、正確かつ安全に業務を遂行することが求められます。また専門的な分野であるが故に、低コスト化は必至の流れになります。これら3点の要請から技術の活用が叫ばれています。

では、どのように医療に活用される?

医療・健康情報記録をさまざまな医療機関で共有できるように

電子カルテ

Personal Health Record(PHR)*個人が関する医療・健康情報を収集し活用できる仕組み

医薬品のサプライチェーン管理

薬品のトレーサビリティーを強化したり、医療機関への情報請求を伴う保険金支払いプロセスを簡略化したりするような活用法

医療従事者の資格認定

専門医の認定など、医療従事者の経験や技量を問う資格認定

医療機関のコスト削減や医薬品の流通コスト削減により医療に係る支出が削減されるでしょう。また、医療従事者の資格認定が容易になることで正確かつ迅速な育成が可能となり、量と質を兼ね備えた医師が増えることも期待されます。

ただし、コストが削減されても、政策によって個人の医療費負担が増えることも予想されます。私たちが支払う医療費は変わらないこともあるかもしれません。

注目され始めた理由は?

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ブロックチェーンはビットコインの登場によって注目がされはじめました。医療へのブロックチェーンの活用が注目され始めたのは時価総額第2位の仮想通貨・イーサリアムの存在からといわれています。

イーサリアムの最大の特徴は契約情報もブロックチェーン上で管理できる「スマートコントラクト」にあります。契約の実行までを行うことができることでより契約や権利、財産、資格の管理が容易になります。

ITヘルスケア学会代表理事・水島洋氏はこのブロックチェーンに注目し、国際標準化に先駆けた議論の場として医療ブロックチェーン研究会を2017年11月に立ち上げました。

また、医師兼情報科学者の沖山翔氏は、「現代は個人のエンパワーメントの時代。分散化や非中央集権化の動きがあちこちで生まれている。マスメディアから個人ブロガーへ、テレビからYouTubeへ、中央市場からメルカリへ、といった流れだ。こうした流れの中で、正しさを保証する存在を国や大企業などの権力からテクノロジーへ移行させるものとして、ブロックチェーンが台頭してきた」。と分析をしています。

アメリカの現状

先進研究の進むアメリカではブロックチェーンの活用について多くの協業が発表されています。

DSCSA

Drug Supply Chain Security Act

医療用医薬品に個別番号を設定し、流通管理を行う法律の制定

MITによる電子カルテのプロトタイプ開発

マサチューセッツ工科大学による開発が行われています。

DeepMind社の参入

AIを利用した囲碁プログラムであるAlphaGoを開発したDeepMind社も参入を発表。国民保健サービス(NHS)との協業を発表しています。

FDAとIBMの協業

米食品医薬品局(FDA)とIBM社は、2017年よりブロックチェーン技術活用のため協業を開始しています。

日本の現状と見通し

日本においても・佐賀大学医学部付属病院が個人のヘルスケアデータをブロックチェーン上に蓄積し、共有可能かどうか検証実験を行っているほか、医療情報活用に向けた制度運用が本格化する(医療等ID,次世代医療基盤法)とみられています。

診療報酬や医療分野でのリソースの削減傾向からコスト低下のための技術活用は必至とみられます。現在は経済産業省による医薬品医療機器等法の整合性確認が行われているにすぎませんが、今後厚生労働省においてもこの動きに続くと考えられそうです。

参考記事 ブロックチェーンは医療にどう活用できるのか 大下 淳一=日経デジタルヘルス

ブロックチェーンへの利用が期待されているイーサリアム。JPモルガンやマイクロソフト、日本からはトヨタや三菱UFJ銀行が参加するEEA(イーサリアム企業連合)も発足しており、各業界への活用が期待されます。

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