イーサリアムやモネロのコミュニティの中でマイニング計算のプロセッサであるASICの排斥運動が加速しています。なぜ反対するのか。ASICとは何か?というところから解説していきます。

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ASIC (エーシック)とは

Application Specific Integrated Circuitの略称。特定用途向け集積回路
仮想通貨のマイニングに利用されることの多いプロセッサです。

販売においては、中国のBITMAIN社による実質的な独占状態が続いています。
AntMinerシリーズはおよそ15万円~25万円。

マイニングって?

ビットコインやイーサリアムなどPoW(Proof Of Work)による承認を行う通貨では、膨大な量の計算を行い一つの値を求めることで取引の承認がなされます。
そのため、最も早く値を求めた者にインセンティブが与えられ利益を得ることができます。

この計算の速度を左右するものが、演算装置、プロセッサの性能となります。

プロセッサとは

CPU

皆さんがよく耳にするのは「CPU」でしょう。スマートフォンの性能を測る際にクアッドコアやオクタコアなど言われているものがCPUとなります。

Central Processing Unit。中央処理装置の略称であり、多くのコンピュータに対応する汎用性の高いプロセッサとなります。

GPU

Graphics Processing Unit。リアルタイム画像処理に特化した演算装置の略称です。

エヌビディアのGTX-1070などが有名で、価格は5万円程度となります。

FPGA

Field-Programmable Gate Array。現場でのプログラムが可能なもの。

主にCPUより専門的なものを少数利用したいときに作られます。そのためASICの試作品として作られることが多いようです。

メリットとデメリット

プロセッサメリットデメリット
ASIC性能を特化することが可能。
消費電力が小さく、製造単価(大量生産時)も安い
設計に時間とコストがかかる
FPGA10台程度の場合製造コストが安価大量生産不可
GPUCPUに比べ処理能力が高い一方、ASICよりコストが安価参入コスト
CPU汎用性が高い 初期コストなし処理能力が劣る

性能 : ASIC > FPGA > GPU > CPU

処理能力と汎用性がトレードオフの関係になります。ASICの方が処理能力は高いですがマイニング以外の用途がほとんどない一方、CPUでは一般的なパソコンやスマートフォンなどに転用できることからマイニング収益が出なくなった場合のリスクを軽減することができます。

また、MoneroやBitzenyなどCPUマイニングの方が行いやすいようにアルゴリズムを設定している通貨もあります。どの仮想通貨をマイニングしたいのかによってプロセッサを使い分けることが必要となります。

ASICをめぐる問題

ビットコイン分裂 ・ ビットコインキャッシュ誕生

Photo credit: Broo_am (Andy B) on VisualHunt.com / CC BY-ND

2017年8月1日、ビットコインが分裂しビットコインキャッシュが誕生しました。これはビットコインにSegWit(取引サイズの圧縮)を実装するかしないかといった意見の対立から起こったものでした。結果、SegWitに反対するコミュニティによって生まれたのがビットコインキャッシュです。

では、なぜSegWitに反対があったのでしょうか。ブロックサイズを維持したまま取引サイズを圧縮し取引の増加に対応するというのは、これまでつながってきたブロックチェーンを維持し課題を解決する策としてかなり合理的なもののように思えます。そこで反対の理由と言われているのがASICの問題です。

分裂前のビットコインにおいてはマイナー達が独自のASICを利用してマイニングを行っていました。しかし、ASICの特徴は、ある一定の作業に特化していること、導入コストが大きいことでした。
当時、中国のマイニング企業などがASICを使ったマイニングによって市場を実質独占していたのです。

しかし、SegWitが導入されれば既存のASICは利用できなくなります。そこで既存のマイナーたちは既得権益を守ろうとして反対したと考えられています。

つまり、より多くのマイナーにマイニングをしてもらうことを企図するビットコインコミュニティ側と既得権益を守ろうとするマイナーの間で意見の食い違いが起こったことが分裂の原因であったといえます。

モネロ

モネロは日本の金融庁登録業者での扱いはない通貨ですが、コミュニティはマイナーによる寡占を防ぐために
・CPUやGPUなど参入障壁の低いプロセッサでのマイニングを可能にする。
・年2回アルゴリズムの変更を行う。
などの措置を取ってきました。

その中でBITMAIN社がモネロのマイニングに特化したAntMinerX3を発売したことに対抗し、緊急ハードフォークを2018年4月6日に行う旨発表をしました。

イーサリアム


イーサリアムにおいても専用ASICが発売されており、3月29日にイーサリアム創設者の1人、Vlad Zamfir氏によるアンケートが行われました。その結果、投票者の57%がASICマイナーの排斥に賛成する結果となっています。

実際に排斥措置を取るかは発表されていませんが、今後排斥の流れは加速するとみられるでしょう。

まとめ

仮想通貨の特徴。それは非中央集権でした。そのためより多くの人がマイニングをすることで取引の信頼性を高めることが不可欠だったわけです。そのため仮想通貨のコミュニティは参入障壁を低くすることを求めます。
一方で、資金を持つマイナー達は自分たちの利益を最大化するためにより性能の高いプロセッサを開発しマイニングを行います。
この両者の目的の違いがハードフォークを起こし、挙句の果てには仮想通貨への信頼性を低下させる事態を招くかもしれません。

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・ASIC(エーシック)は仮想通貨のマイニングに利用されるプロセッサ
・ASICはある一定の目的のために性能を特化させたもの。 ⇒ 処理速度が高速

・仮想通貨コミュニティはより多くの人にマイニングをしてほしい ←信頼性を高めるため
・マイナーは資金を持つため、より性能の高いプロセッサを利用しようとする。

・対立構造

【マイナー】ASICの利用 
VS
【コミュニティ】アルゴリズムの変更/ハードフォーク/ソフトフォークでASIC利用できないようにする。


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