証券該当か否かのニュースがイーサリアムやリップル(XRP)の価格に影響しています。多数の見方では証券には該当しないとの見解。その理由を解説するとともに証券に分類されるとどういった規制が課せられるのか解説していきます。

1. 有価証券とは

私法上の財産権を表章する証券で,権利の発生,移転,行使の全部または一部が証券によってなされることを要するもの。

引用: kotobank.jp

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金融商品取引法上の規定においては有価証券は第2条にて第1項有価証券と第2項有価証券に大別されています。

第1項に規定されるものは国債や地方債、社債や株券、投資信託の受益証券などがあり、第2項に規定されるものは信託の受益権や集団投資スキーム持分などをみなし有価証券と呼ばれるものとなっています。

証券が発行されるものはもちろんのこと、発行されなくとも性質が有価証券と同等と判断されるものはみなし有価証券として金商法上の規制を受けることとなります。

2. 有価証券にはどのような規制がかかるの?

金融商品取引法は、金融商品市場の信頼保持、透明性の確保、投資家保護などが規制の目的となっており、証券にかかる規制の主なものは以下の通りとなっています。

a. 開示規制

発行者に対し、その発行する有価証券に関する情報(証券情報)や発行者に関する情報(企業情報)を開示する義務を課す規制を開示規制といいます。

引用: business.bengo4.com

開示規制のうち、有価証券を発行する際の開示規制を発行開示規制といいます。発行開示規制は、有価証券の募集または売出しを行う場合に適用されますが、その例外として私募や私売出しがあります。

引用: business.bengo4.com

継続開示は、流通市場で取引されている有価証券の投資判断のために、発行会社が継続的に企業内容を開示することをいいます。

引用: business.bengo4.com

b. 不正行為による取引の禁止 -金商法157条

不正の手段、計画又は技工をすること、重要事実の掛けた文書その他の表示を利用した財産取得、虚偽の相場利用などが処罰の対象となる。

c. 風説の流布等の禁止 -金商法158条

虚偽もしくは合理的な根拠のない情報によって相場の変動を目的とする場合に処罰の対象となる。

d. 相場操縦行為等の禁止 -金商法159条

相場操縦とは、同一人物もしくは通謀したグループによって相場の変動を恣意的に起こし利益を得ようとする行為のこと。同一者の売買による権利の移転を目的としない仮装売買と、通謀の上売買を行う馴合売買、約定の意思のない大量注文を出すことによって取引が活発であるように見せかける見せ玉という手法などが相場操縦にあたる。

e. インサイダー取引規制 -金商法166条・167条・167条の2

会社関係者(166条)、公開買付関係者(167条)であって、上場会社等に係る重要事実を知った者は、当該重要事実公表後でなければ当該上場会社株式等の売買をしてはなりません。
また、事実を知り自分で売買をしなくとも他人に伝達または売買の勧奨をする行為も規制の対象となります。(167条の2)

3. 証券になるかどうかの判断基準は?

a. 集団投資スキーム (日)

資金提供者から出資・拠出された資金を用いて事業・投資を行い、そこから得られた収益等を分配する仕組みをいう。ただし、出資者全員が当該事業に関与する場合は除外される。つまり、出資者は事業に関与せず、もっぱら資金運用者が運営する事業から産み出される利益を求めて投資する形態を意味する。  

引用: kotobank.jp

「金融商品取引法」(金商法)第2条2項5号で規定される概念で、条文上は「事業から生ずる収益の配当・財産の分配を受けることができる権利」とされる(なお、同条同項6号では、外国の法令に基づく権利で5号に類するものも同列と記載されている)。

引用: kotobank.jp

債権や株式など有価証券であることが明白なものに加え、金融商品取引法ではそれに類するものをみなし有価証券として定義していました。代表的なものが集団投資スキームであり、資金を集め値上がり益の分配を行うスキームも規制の対象となります。

b. 投資契約 (米)

米国では、日本の集団投資スキームとほぼ同義の用語として投資契約というものが存在します。ビジネスが投資契約にあたると判断されれば証券法の規制対象となり処罰の可能性が出てきます。

Howey Test基準

アメリカの判例で利用されている投資契約に該当するか否かを測る基準

<Howey Test基準>
1.発起人又は第三者の努力にのみ依拠した
2.共同事業からの
3.収益を期待して行われる
3.金銭の投資
であること。

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◯アメリカ証券取引委員会VS W.J.Howey社事件

<事件概要>
1946年にW.J.Howey社の行っていた土地の販売及び業務委託契約が「投資契約」に該当し、販売勧誘に郵便及び州際通称を用いたことが証券法違反であるとした判決。

W.J.Howey社はフロリダ州法上の会社であり、大規模なオレンジ農園の半分を販売、区画の権利証を交付し利益をあげていた。土地の購入者はHowey-in-the-Hills Service社に業務を委託(実質的に同社に限定するような形で運営)、また購入者はオレンジの収穫を目的としているのではなく投資として土地を購入していたビジネスマンなどが主となっていた。

 つまり、投資対象を探している人々に対し、有価証券発行届出書を発行することなく土地の販売という形式の下、収穫代行サービスまでを用意して土地の販売を行っていたのである。

集団投資スキームも投資契約もほぼ同様の基準の下、該当の可否が決定されます。

4. 仮想通貨の証券該当事例と現状

a. The DAOトークン

仮想通貨が証券に該当するとの懸念を一層拡大させたのがThe DAOトークンの証券該当認定事例でした。

<The DAOとは>
イーサリアムのスマートコントラクト技術を利用して自律的に投資ファンドのような機能を実現する自立型分散組織であるThe DAOのトークンが有価証券として認定されています。これは戦術のHowey test基準に依るもので、ICOによるトークンが有価証券に該当する可能性があることを示した事例となっています。

The DAOのハッキング事件はイーサリアムコミュニティの分裂を引き起こしイーサリアムクラシックとイーサリアムの分裂を引き起こした事件でした。

b. イーサリアム(ETH)

①と③を満たさない。⇒証券でない

Howey Testは①発起人又は第三者の努力にのみ依拠した、②共同事業からの、③収益を期待して行われる、④金銭の投資が投資契約に当たるとして米国証券法の規制が課せられるとしています。

証券に該当するかも同様で、価値が発行者の働きに依存するもので利益や権利などを約束するものが「証券」にあたるという見解が示されています。

・公式ではないがSEC幹部による証券該当否定の見解あり

イーサリアムにおいては、ビットコインと同様に非中央集権のネットワークであり、市場の参加者の需給によって価値が決まるため、①の要件と③の要件を満たさないため証券にあたらないとされています。(SEC コーポレート・ファイナンス部門長Hinman氏)

この見解はあくまでHinman氏によるものでSECの公式見解ではないとされていますが、明確な要件がある中で非中央集権として世界中に分散しているイーサリアムが証券に該当する可能性はかなり低いものとみていいでしょう。

c. リップル(XRP)

①は満たす可能性あり、しかし③は満たさない ⇒証券でない?

リップル社もXRP保有によって損失を出した人物からの訴訟により、XRPが証券に該当するか否かの問題に直面しています。XRPはリップル社が発行主体となっていることからビットコインやイーサリアムと比べると非中央集権制が弱くなっているため、多くの訴訟の動向が注目されています。

ブラッド・ガーリングハウスは訴訟に対し、仮にリップル社がなくなってもXRPのは独立して存在し続けることを理由に証券ではないとの見解を示しています。

一つの見解として、XRPは決済機能が十分に機能していないビットコインとは異なり国際送金など実需があるといえます。こういった点から、確かにHowey Testの①の要件はリップル社という存在がある以上満たさないとは言いにくいものの、③の収益期待の要件は満たさないと言えるのではないでしょうか。

まとめ

証券に該当しないとした理由はかんたんにまとめると以下の2つ。

Ⅰ. 非中央集権であること 一部の者によって価格操作がされないこと

Ⅱ. 収益を期待するものではないこと

証券として認定されてしまえば、発行主体が決定され証券及び企業の情報開示を継続して行わなければなりません。さらには価格操作や不正取引についての処罰の可能性もあり、健全な発展という面では良いものの自由度が制限されることなってしまいます。

こういった理由から市場は仮想通貨の証券該当を嫌い、否定されれば価格は上昇、不明な場合は下落を示します。未だ訴訟は続いており、SECによる公式見解の発表もなされていないことから今後の証券該当に関する動きにも注目していく必要があるでしょう。

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