ドル円相場予測

112~116円をコアレンジとして保護主義政策優勢のドルの下値を試す展開。ドルの押目を拾い上値で一部利食う回転売買が有効。

 1月のドル円相場は米大統領選後2ヶ月のトランプ相場を経て、ドル高に対する調整局面に移りました。月初118円台でスタートしたドル円相場は11日のトランプ氏記者会見や20日の大統領就任演説が注目視されていたが、両会見で具体的な経済政策への言及がなかったことから「期待はずれの内容」と市場は受け止め、米長期金利が急低下、同時に株安になったことでドル売りの展開となり、更にトランプ氏が対人民元でのドル高に懸念を示したこと(保護主義政策)もドル売りを促し、24日には一時112.527と昨年11月30日以来の安値を更新した。

 ただ、その後はイエレンFRB議長が2019年までの複数回の利上げと3%の長期中立金利に近づくことを示唆したため米長期金が急上昇、ダウ平均が2万ドルの大台を示現するなど過去最高値を更新、株高を支えにドルの下値を切り上げる展開、更にムニューチン新財務長官のドル高肯定発言もあり、一転してドルの買い戻しが優勢となり、115円台後半まで戻した。

 しかし、就任10日にして立法府である議会の議決や承認を経ずに直接大統領令を17件も発動(「テロ懸念国」入国制限など)するトランプ政策に対する警戒感から投資家心理が弱気に傾き、株安と同時にドルも売られ113円台まで下落して月末を迎えた。

 目先のドル円相場は日米の景況感、金利差に着目したドルの底固い相場展開よりもトランプ氏のツィッターや大統領令による保護主義政策の動向に注目すべきである。リスクが高いのはトランプ米大統領の保護主義政策を背景とした発言であり、1月の相場同様、神経質で方向感のない展開が充分想定され、ドルの下値を模索するケースも随所に出てくる難しい相場が続きそうである。当面は112.00~116.00をコアレンジとしてドルの押目を丁寧に拾う展開がワークしそうだ。

 一方、1月の相場展開では堅調な米経済情勢とFRBの段階的な利上げ姿勢は確認されていることから、現在の3月FOMCでの利上げ織り込み度は35%程度である米金融政策についても(当面の米経済指標とイエレン議長のタカ派発言に)注視すべきであり、3月の織り込み度合いが増加して米長期金利が上昇するようだとドルの上値を探る展開もあり得る。しかし当面上値は限定的と考える。

 トランプ大統領は着々と選挙期間中の「公約」を実行していますが、すべて「保護主義政策」ばかりであり、目先の重要な2月末までの政治予定は10日の「日米首脳会談」と28日の「一般教書」(通常は2月初め)。特に2国間協定では「為替条項」を入れ、通貨安誘導を制限するとしているのでドルが戻した上値は当面売られやすい展開が続きそうだ。グローバルな投機筋の持ち高(IMM)は1月の調整局面で円の売り持ち(ドル買い円売り)がかなり剥がされたとはいえ、まだまだ高水準のドル買いポジションであり、ドルの戻り上値では持ち値を落すドル売りが出やすいであろう。

 ただ、中長期で見たドル円相場の2国間景況感及び金利差から判断したドル高方向に変化はないことから、トランプ大統領による保護主義発言により、株安・ドル売りからドルが売られた局面では、ドルの押目を丁寧に拾うのが1月以降の上下に方向感もなく神経質に激しく展開される相場つきには一番ワークしそうである。

 ドルを買えてない人は110円をバックにドルの押目を拾い、ドルが上がった局面では一部利食いをかけた回転売買、ドルの買い持ちポジションをキープする運営を推奨します。下値の目処は1月25日安値113.042、24日安値112.527。ドルの押目ではトランプラリーで出遅れた本邦輸入筋や機関投資家(年金)の根強いドル買いが発動されることが予想され、110円の節目は割れないと想定する。

 一方、ドルの高値は116円を上抜けすると1月11日高値116.868、9日高値117.531、3日高値118.607やトランプラリーの戻り高値118.667(12月示現)が意識されそうだが当面上値は限定的と考える。

ユーロ相場予測

ユーロ、英ポンドともに戻り売り。短期的にはトランプ政策のドル売りからユーロ・英ポンドともに上値を試す展開。

 1月のユーロドル相場は年末から続いたトランプラリー(ドル買い)の流れから1.04を下抜け、1.0341まで下落、2003年来かつ昨年12月に示現した1.0367の安値を更新した。しかし、その後はトランプ氏の政策に対する不透明感・失望感からドル売りユーロ買いの展開に終始、1.07台後半までユーロが買われユーロ巻き戻しの展開で月末を迎えた。目先はドル円同様、トランプ大統領の政策動向次第でどこまでユーロが買い戻されるかが焦点。一方、ファンダメンタルズに目を向けるとECBの金融政策について当面緩和スタンスを維持する方針が確認されたことにより、欧米金利差拡大の思惑からユーロ下落圧力は根強く継続されることは想定できる。

 ただ、当面はトランプ大統領政策に起因する株安・ドル売りの方がユーロのファンダメンタルズや経済指標よりも優勢と思われることからユーロの戻り売り、ユーロが下落した局面での一部利食いが一番ワークしそうだ。当面は1.05~1.08の狭いレンジながらユーロの上値を模索する展開を想定するが中長期的にはパリティ(1ユーロ=1ドル)を割れてユーロが下落していく方向に変更はない。ユーロの戻りがあれば丁寧にユーロの売り持ちを増やして平均持ち値の改善を図ることを推奨する。上値の目処は1.08~1.10。下値は1.05を割れたら1月安値1.0341が意識されそうだ。

 一方、英ポンドは月初メイ英首相「欧州単一市場より移民流入の抑制を優先」の報道からハードBrexitの可能性が再燃、ポンドは1.23台から一時1.1986まで下落、昨年の安値1.1841に近づく勢いでポンドは売られた。その後、メイ首相により「EU単一市場からの離脱」を正式表明したことが材料で尽くしと市場は判断し、ポンドはショートカバーにより一気に1.26台まで買われポンド買い優勢で月末を迎えた。

 当面、英ポンドは経済指標よりもBrexitに関する政治家等要人発言に反応しやすい展開が継続することが想定され、トランプ大統領政策のドル売りが重なれば更なる英ポンドの上値を目指すことも想定される。ただ、根本的なハードBrexitの方向性には変化がなく、ユーロ同様ポンドの戻りを売って下落した局面で足早に買い戻す取引がワークしそうだ。1.24~1.27のコアレンジの中、下値が固そうである。

参考リンク

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鶴 泰治

株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

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