つねに機先を制して人よりも先に行動を起こす

「Buy the Rumor, Sell the Fact」は、直訳すれば「噂で買って、事実で売る」ということです。

相場では、みんなが買ったあとに買ったり、みんなが売ったあとに売ったりしてはすでに遅く、つねに機先を制して人よりも先に行動を起こせ、と言われます。

経済指標など実際の数値が発表されたあとでは、いわゆる材料出尽くしとなり、発表直後の荒れた値動きのもみ合いを高値または安値として、そこから相場が反転することがよくあるからです。

「Buy the Rumor, Sell the Fact」を事例で解説

たとえば、今度の雇用統計は非農業部門就業者数がマイナスからプラスに転じるのではとか、失業率が高止まりから下落に転じるのではなどという、ドルに対して好意的な「噂」がつぶやかれた段階から、巷ではドルを買い始める人たちが出てきます。

さらに雇用統計の指標発表日が近づくにつれ、エコノミストたちの予想も強気の予想が少しずつ出始めると、出遅れた人たちもドルを徐々に買い始めます。その間、ドルは主要通貨に対し緩やかなドル高トレンドを形成していきます。

実際の発表日となると、エコノミストたちの予想もすべて出そろい、強気の予想が大勢を占めるものならさらに拍車がかかり、買い遅れた人たちも数時間前からいっせいにドル買いをします。

それでも、こんな高値ではドルは買えないと、買いたくても手が出せなかった人たちは実際の数値発表まで待ちます。そして、実際の数値がもし予想よりもより強めの数値が発表されると、最後まで買えなかった人たちがこぞってドルを買うので、発表直後は値が飛ぶようなドル高となります。

しかし、いったん最初のドル買いの波が終了すると、そこを高値として、ドルはずるずると下落します。いわゆる噂段階からドルを買った人たちが、ドルが上がったところで利食いのドル売りをし始めるからです。

ドルの水準が発表直前のレートを割れてくると、出遅れて買った人たちが利食い始めます。

レートが下がる過程で、その日にドル買いをした人たちも、あわててドル売りにまわります。さらにレートが大きく下がると、ドル買いの数値のはずなのにおかしいなと様子を見ていた人たちも、いったんポジションを落とすドル売りを出し始めます。

発表直後に高値圏で買った人たちの損切りのドル売りもいっせいに出てきて、ドルは思った以上に急落し、損切りが損切りを呼ぶような展開となるのです。

これは結局、ドル買い材料のはずの強めの数値発表が、むしろ売り材料となったものです。

プロが自戒を込めて使う言葉「 Buy the Rumor, Sell the Fact.」

為替相場を動かすのはポジションの傾きです。数日前からゆっくりとドルの買いポジションがたまり始め、経済指標発表直前までドル買いポジションがたまっていく分だけ、ドルを押し上げます。

これらの買いポジションがいっせいにポジションを閉じるために売りにまわれば、当然のことながら大きな売り圧力となり、相場が急落します(ドル/円のチャートに見られる「右側の崖(円高局面は売り回転で攻める)」をご参照)。

このように、為替相場では噂の段階から予想をもとに通貨が買われていきます(売られていきます)。よって、相場は上昇(下落)がちとなり、事実として発表されたときは、もうすでに織り込み済みで上昇(下落)余地がないため売った(買った)ほうがいいというものです。

実際に発表直後の市場は達成感が相場を支配し、プロのディーラーは動物的なカンが自然に働き、ポジションをいったん閉じます。そして発表された中身を吟味し、その後の値動きを確認しながら今後の相場展開を予想・判断して次の行動に出るのです。

これが「Buy the Rumor, Sell the Fact.」です。プロのディーラーがポジション運営をするときに、自分への戒めを込めてよく使う言葉です。

「仏大統領の決選投票」の為替相場はどうだったか?

直近の事例としては先の5月7日(日)仏大統領の決選投票において大方の予想どおりマクロン氏(親EU派)が圧倒的多数で右派(EU離脱派)のルペン氏を破って新大統領が誕生しましたが、5月8日(月)早朝の為替市場オープン直後から、ユーロに対し好結果がでたにも拘わらずユーロ(ユーロ・ドル、ユーロ・円共に)は下落傾向となりました。

2週間前の第一回目(4月23日(日))の投票後は直前まで候補者が拮抗していたため、リスクオフからユーロが軟調地合(ユーロ・ドル1.07台前半、ユーロ・円117円台前半)に推移していたもののマクロン候補の優勢で終わった結果を受けて、翌日月曜の早朝オープン取引からユーロ(ユーロ・ドル、ユーロ・円共に)は窓を開けて買われて(ギャップアップ)スタート。

その後も決戦投票のマクロン氏優勢の報道を受けるたびにユーロは堅調地合となり、決戦投票直前までにユーロ・ドルは1.10台、ユーロ・円は124円台まで買われました。

決戦投票でマクロン氏が勝利との報道を受け、月曜のオープン取引こそ再度、窓を開けて一旦ユーロは買われたものの(ギャップアップ)、その後は材料出尽くしからユーロ買いは続かずユーロ・ドルは1.08台までユーロ/円は123円台までその日のうちに反落しました。これこそ「Buy the Rumor, Sell the Fact.」です。

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鶴 泰治

株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

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